最近は毎年、春と秋の2回、特別編として放送されているフジテレビ系オムニバスドラマ「世にも奇妙な物語」。その季節が今年もやってきた。
この番組、週一のレギュラー放送としてスタートしたのは1990年4月のこと。3年間のレギュラー放送を終えた後も、季節の風物詩のように特別編としてこれまでたびたび放送されてきた。番組開始当初はタイトルどおりに恐怖系の話が多かったのだが、次第にギャグ系、感動系、ファンタジー系等・・・バラエティに富んだラインナップが顔を連ねるようになり、それが功を奏してか、いまだにスペシャルとして放送され、ファンを魅了している。私は個人的にストレートな恐怖もの、ホラー系があまり好きではないので、番組開始当初は敬遠していたエピソードも多かったのだが、次第に作品カラーがバラエティにとんでくると、結構好んで見るようになった。
その中でも「赤と黒」という超短編のストーリーが今でも印象に残っているのだが、大沢誉志幸氏演じるひたすら走り続ける男とマンションに手足を縛られ監禁された女(岸本加世子)の二人しか登場せず、セリフはいっさいなしという話。男は街中を必死に走り続けている。女の目前には爆薬がカウントダウンを刻んでいる。男はある建物にとびこむと必死に階段を駆け上がる。不安な表情の女。部屋に駆け込んだ男は慌ててタイムカードを押す。1分の遅刻だった。時を同じくして、目の前のビルから爆発音が・・・。これだけの話である。男と女は直接何の関係もない。ただ同時進行していただけの話。なんの説明もない。これがなんともいえない感覚につつまれるのである。
他にも、柳葉敏郎氏演じる男が乗車したバスで不可解な出来事に遭遇する「奇数」。バスを待つ乗客の順番そのままにバスの座席に前から順番に一列に座っていく。7番目に並んでいた彼は最初、7番席とは別の座席を選んだのだが、なぜかバスは走り出さない。乗客の視線にプレッシャーを感じ、仕方なく空席の7番席に座るとようやくバスは走り出す。1丁目につくと、1番座席に座っていた人が降車する。2丁目に着くと2番座席の人が降りる。同様に順番に一人ずつ降車していく。彼の目の前に親子が一組いたのだが、なんと別々に降車したのだ(つまり、5番と6番)。気がつくと自分が次に降車する番だ。しかし、7丁目ではなく11丁目で降りたいのだ・・・。そんな不条理感たっぷりの短編なのだが、説明のない怖さ、シュールさが最高で好きなのである。
感動系もそのまま膨らませて映画化できそうなストーリーも意外とある。最近見たものの中では、「過去からの日記」という作品。売れない小説家と難病と戦う少女が時を超えて交換日記をする話なのだが、映像美と役者の演技力ですごく感動的な話になっている。今でも大好きな話だ。
18年もの間、放送されていることもあって、今やネタ切れの感じも否めないが、それでもこういうショートストーリーというスタイル自体大好きなので、やっていればつい見てしまう。今フジテレビで放送中の「ロスタイムライフ」というドラマも「世にも」と合い通じる作品世界。ばかばかしさと恐怖感がとなりあったシュール世界。そんなドラマが私はすごく好きです。今春放送予定の新作もどんな作品が見られるか、期待しないながらも楽しみに待つ私です。
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