2008年3月11日火曜日

ピエール・バルー

私が大好きでよく聞くCDの中に、ピエール・バルーの「花粉(Le Pollen)」というアルバムがある。
ピエール・バルーという人。フランス人で、クロード・ルルーシュ監督の映画「男と女」にも俳優として出演したこともある魅力的なシンガーソングライターです。

この「花粉(Le Pollen)」というアルバム、リリースされたのは1982年の秋。彼のファンだという日本人ミュージシャンたちによって録音された作品なのですが、そのメンツがすごいのである。学生時代から彼のファンだという高橋幸宏氏を筆頭に、ムーンライダーズ、加藤和彦、坂本龍一、清水靖晃とマライアメンバー等、当時(そして現在も)の日本のトップミュージシャンが完璧なまでにバックアップしており、そのサウンドはたんなるシャンソンでは片付けられない当時としては先鋭的なテイストを十分に包含した魅力的なサウンドで、バルー氏のボーカルとともに聞けば聞くほど好きになる仕上がりになっているのです。

ほとんど同じメンバーで1984年にもアルバム「シエラ(山脈)」がリリースされ、より渋い仕上がりになっていてこちらも大好きですが、とりわけ「花粉」は私にとって、スルメのような聞けば聞くほど味の出る特別なアルバムになっています。YMOやライダーズのメンバーが参加しているということもそうですが、バルー氏のボーカルのすばらしさというものがじわじわと伝わってくるんですね。

昨年の秋に恵比寿のガーデンホールでライブを開いた際に足を運んだのですが、生で聞く彼の声は当時とまったく変わっていなくて、その存在感を十二分に伝えていたすばらしいコンサートでした。幸宏氏がゲスト出演したこともあり、当時の「花粉」のタイトル曲や加藤和彦氏の曲「pepe」など、大好きなアルバム曲をステージで再演してくれたことにも感激した私でした。

「花粉」リリース直後の1983年初頭に、フランスのピエールカルダン劇場にてライダーズのメンバーと清水靖晃さんをバックにライブを行ったのですが、その録音が奇跡的に残っていて、2001年になんとCD化が実現。このニュースは本当にうれしかった。ムーンライダーズのちょっとアマチュアっぽいサウンドがいい味を出していて、清水さんの渋いサックスとの奇妙なバランス感を保ちつつ、ピエール・バルーのボーカルがゆったりと空間を埋める様が見事に記録されています。おもちゃの楽器で演奏される「おもちゃのチャチャチャ」のフランス語版もなかなかの白眉もの。今後も聞き続けていくんでしょうね。

アルバムでは坂本龍一教授がアレンジと演奏を担当した「出会いの星」は、昨年のコンサートでもラストを飾った曲で、日本の曲のメロディーにはないヨーロピアン独特の物憂げなテイストが印象的な曲で、ライブの終演曲にふさわしい選曲でした。
こういうアルバムが1枚でも多くあると人は幸せですね(笑)。

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