2008年3月14日金曜日

記憶の達人

テレビでおりにふれ、超人特集があると必ず紹介される記憶の達人。

一口に記憶といっても、記憶の対象が様々で、人によって得意の記憶ジャンルというものがあるようだ。たとえば、円周率を何十万桁も記憶する人がいたかと思えば、パッと瞬時に見せられた映像や言葉などをいくつもその場で記憶するのが得意な人がいたり、歴代の大統領や出来事を詳細に記憶している人もいたかと思えば、イントロあてクイズで膨大な楽曲のイントロだけを記憶している人もいます。

私はそんなに記憶力に長けている人ではないので、このような人たちには手放しで感心してしまう。つまり、記憶の分野での競争心がないので、完全に傍観者として楽しめてしまう。もちろん、記憶力が優れていたらいいなぁとか単純に思うのだけれども、たとえば、円周率のような無意味な数列記憶にはなかなかモチベーションがわかないのです。歴史の年号や出来事の暗記なんて、ホントに苦手だったなぁ。興味があれば入りやすいと思うのだが、義務的に機械のように記憶しなければならないというのはとても苦痛を感じてしまう。

そんな私ですが、最近、同世代の方がテレビに出演して記憶術を披露しているのを見て、関心するとともに、すごく興味を抱いたのです。テレビでは、即興的にゲストの芸能人が書いた12桁の数字を瞬時に記憶するというものでしたが、記憶術もそうですが、それ以上に物腰のやわらかいこの人本人に強い興味を感じたんですね。番組を見終わった後に気になってネットで調べてみたら、この方、自身の記憶術の本も出版されている藤本忠正さんという人であることがわかりました。ところが驚いたことに、藤本さんは幼い頃の事故が元で、「記憶障害」という後遺症を負っていて、現在もその状況を抱えて生きていらっしゃるとのこと。しかしながら、本人の努力で自らの記憶術を駆使し、どんなものでも暗記できてしまうくらいに上達したそうです。その一方で、「記憶障害」は、すぐに記憶が消滅してしまうという症状を持っているため、藤本さんが日常の中で記憶の消滅と新たな入力の狭間を常に行き来して生きているという現実にショックを受けました。と同時に、障害を負っていない自分がいかに日常を怠けているのかを思い知らされ、背筋が伸びる思いがしました。

もともと、自分で勝手にイメージ記憶をするというのは自然とやっていたりすることなので、記憶の仕方に興味さえ持てれば能力開発として取り組んでいけるのではと思っています。そんなわけで、これをよいきっかけとして、新しいチャレンジにつながればと思います。人間はむしろ、不自由や困難な状況下の方が力を発揮するといいますが、自分もぬるま湯な日常を反省し、新しい刺激を取り入れたいと思う今日この頃です。

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