物心ついた頃には、自宅にテレビがあった。
ただし、白黒テレビであった。
平成生まれにとっては、「一家に一台ビデオデッキ」というのは当たり前のことで、ビデオが存在しないということ自体、ありえないのではないか? というくらいこの30年くらいで生活の便利度は恐ろしく変化したと思う。
私が幼少の時代を過ごした昭和40年代は、カラーテレビの普及が徐々に浸透していく過渡期の時代。番組自体は放送局からカラー放送として送信されていても、受信機が白黒テレビであれば、当然ながら白黒画面でしか見ることができない。感受性が豊かな幼少期にこの画面を見て育った自分としては、白黒画面の映像に対して、ノスタルジーがものすごくあるようだ。
また、この時代、カラー放送の番組には、「カラー」という文字が画面の隅に表示されていたので、これを覚えているかどうかで、その人が大体どの年代かがわかってしまう(笑)。
私が見たテレビ番組の一番古い記憶は、おそらく「ウルトラQ」だと思います。昼間か夕方頃に見た記憶なので、すでに再放送だったと思うのですが、「ボスタング」という宇宙エイが出てくる回(第21話「宇宙指令M774」)でした。海からボスタングがザバぁ~!っと顔を出すシーンがあるのですが、なぜかこのシーンだけが、白黒画面ゆえの独特の迫力を持って自分の中にずっと残っているんですね。で、このテレビの前で自分は、ノートの切れ端にマジックペンで絵を描いている。しかも、その時、かなりうまく書けたという満足感を持っていて、母親にもそれを見せアピール。「上手ねぇ~」とベタぼめしてもらうと、おれってすごい?的な子供ならではの自己満足に包まれる(笑)・・・そんな一連の光景がセットになって今も脳裏にはっきりと残っています。
その時の絵は、ボスタングではなく、お揃いの帽子を被った二人の人物(誰かをモデルに書いたという意識はなく、ただ書いた・・・その程度だったように思います)でした。実はその時の絵は、母親が捨てずにアルバムに保存しておいてくれたということが後になってわかるのですが、そこに記載された年月日をみるとなんと、私の3才の誕生日。そういうことか。でも、後になって見ると、ホント、たいしたことのない絵なんだけど、その時の達成感というか「どうだ!」感は今もよく覚えているんです。ピュアだったなぁ、ホントに(笑)。
我が家の白黒テレビ時代は、なんと小学4年生の頃まで続くのですが、円谷プロのウルトラシリーズは、本当に画面に食い入るように白黒で見てましたね。ウルトラセブンまではリアルタイムではなくて、再放送で見ていたと思いますが、白黒画面ならではの独特の雰囲気・味わいを伴って、今も自分の中に残っており、昔のモノクロ画面の番組がたまに紹介されると、胸がキュンとなります(笑)。
しかし、白黒だけに恐怖をいだいたエピソードも結構あって、「ウルトラセブン」の中の「第四惑星の悪夢」(第43話)・・・これは本当に怖かった。セブンのエピソードの中でも、怪獣の出てこないちょっとシュールな回で、人間がロボットに支配されているという星にウルトラ警備隊のダンとソガの2名が迷い込んでしまうという内容。そこでは、人間がロボットに処刑されてしまうというショッキングなシーンもあり、その世界のトップに君臨するロボット長官の描写もすごくオドロオドロしくて、しかもダークな色調感が物語自体にすごく陰影を落として迫ってくる・・・そんな回(の記憶)でした。はっきりいって、子供が楽しむようなエピソードではありません。暗すぎます。
長官が自分の頭の一部を取り外すと、中から機械仕掛けの頭脳が見えるくだりや、長官お付きの署長さんの口から終始聞こえてくる不気味な効果音など、いまだに怖い(笑)。後に、この回の監督をつとめた人物があの実相時昭雄さんだと知って、自分の中では、いろんな意味で特別な人として刻み込まれたものです。
昭和40年代半ばになると、ウルトラシリーズのほかにもいろいろな特撮ヒーローものが登場し、石ノ森章太郎(当時は「石森」)先生の原作を元にした仮面ライダーやゴレンジャー等のシリーズがわんさか出てくるんでしたね。この時代の小学生が学校から帰ってからすることは、友達とヒーローごっこ、これしかなかった感じです。全員、仮面ライダー役になって、怪人役が皆無ということも多々あり(笑)、仮面ライダー兄弟の日常・・・みたいな超番外編ストーリーばかりを作り上げていた平和な時代でした(笑)。それもこれも白黒テレビ時代がかなり多かったと思います。
最近は昔のテレビ番組や映画作品などが、DVDとなって復刻されるケースがとても増えていますね。デジタルリマスターと称して、画質補正されクリアな画面になったことは素晴らしいと思うけど、当時の自分の家で見たあの白黒テレビの画面の映像はもう見ることはできないと思うと、なんともさびしい思いもしてしまいます。はじめて見る作品なら、思い入れ抜きで新作と同じように楽しむことができますが、自分の思い出の中に生き続けている作品がDVDできれいな映像になったものは、はっきり言って別物に感じてしまいます。これは昔のレコードと最新のリマスター復刻版CDの違いにも共通して言えることですね。スクラッチノイズはさすがにない方が聞きやすくていいけど、必要以上に音質補正されると音像が変化してしまうのでリミックスかよ!と思うものが少なくない、昨今のCD復刻にちょっと不満を持っている私です。
・・・テレビの話からCDの話へ飛びかけたまま、今回はこんなところで。(まとまりがないなぁ)
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