我が家には10年ほど前まで、いぬがいた。
血統書のついた由緒ある犬ではなく、ありふれた雑種犬。猟犬種のポインターと芝犬のハーフらしくて、顔の雰囲気はポインターなのだが、毛並みや尻尾は完全に芝犬。ちなみにメス。
もともと我が家では、ペットはほとんど飼ったことがなく、小学生の時に手乗りインコを飼ったぐらいだったと思う。生まれて間もない頃に我が家へもらわれてきたので、かなり愛らしいまでになついてくれ、言葉を喋るのがとにかく可愛い(笑)。意味不明ながら、あの愛らしい喋りにメロメロでした。
しかし、ある時インコを肩にのせたまま、うたた寝してしまったことがあって、気がついてみると、なんとインコは圧死・・・(涙)。号泣とはこのことを言うのだなというくらい泣きじゃくりました。
その後は、まったくなつかないインコを飼ったものの、私の不注意で死なせてしまったインコのことが脳裏から消えず、見るに忍びなくて、ペットはもう飼うまいと思っていたのです。
そんな時に、あの犬は我が家に突然やってきたのです。どういうことかというと、母親が知り合いからもらってきたのです。家族の断りもなしに。いわゆる事後承諾というやつですね。
産まれて間もないということもあって、まだ母親犬といっしょにしておかないとまずいのでは・・・というくらい、夜中は泣きまくり。そりゃそうです。ダンボール箱の中にたった一匹だけにしていたんですから。きっとかなりの不安を感じていたと思います。成長してからも、恐ろしいまでに臆病な犬だったことがその証拠。できるだけ、昼間は相手をしてあげたものの、原初体験のトラウマはやはり大きく影を落としていたようです。
しかし、その一方で、ものすごい大食漢で、自分の首輪まで食べてしまったこともあるほどの食い気100%体質。時に食べ過ぎて吐くのですが、しばらくするとそれすら再び食べつくすというくらい、食に対しては異常なまでの執着のある犬でありました。怖かった(笑)。
赤ん坊から数ヶ月の間は体も小さくて、かわいらしかったのですが、すぐに体形は大型に。ひよこがにわとりになってしまうと興味を失う小学生のごとく、私にとっても、ちょっと手に負えなくなってきました。我が家では、主に両親が面倒を見ていたのと、私も自宅から離れて一人暮らしをはじめたため、あの犬とはその後疎遠になっていきました。
彼女が家に来てちょうど10年目の頃、久しぶりに自宅に戻ってみると犬小屋がなくなっていました。事情を親に聞いてみると、おなかに虫が湧いてもう手遅れの状態になり、ごく最近にひっそりと息をひきとったのだと言う。食い意地だけはすごかったので、散歩中に落ちているものを食べることもよくありましたが、食べたものがよくなかったのでしょう。最後まで食いしん坊将軍を貫いたのはあっぱれ。ついでに、両親に見守られて昇天したとのことなので、結構、幸せな生涯だったのではと思います。
それにしても、ペットって、亡くなった時の喪失感が本当に大きくて、二度と飼うかと思うんだけど、いっしょにいた時間というのは本当にかけがえのない大切な時間で、自分の人生の一部を確実に成しているんだなぁとつくづく思います。
たかがペット・・・されどペット。ペットショップで、動物と目が合った瞬間に運命を感じるというのが怖くて、私は今もなかなかお店に入れません(苦笑)。
あの上目使いと時おり首をかしげる仕草・・・思い出すと思わずうるっとくる私でした。
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